パジェロミニとスズキ・ジムニーは、どちらも軽自動車サイズの3ドアSUVで、背の高い四角いボディや4WDらしい外観を持っています。そのため、車に詳しくない人が見れば「かなり似た車」に感じるのは自然です。
実際、両車には共通点もあります。軽自動車規格の本格的な4WDモデルとして開発され、4WD車には2WDと4WDを切り替える機構があり、悪路や雪道まで視野に入れた設計になっています。
しかしメカニズムまで見ると、パジェロミニとジムニーはかなり違う思想で作られた車です。特に大きな違いが、車体構造とサスペンションです。ジムニーは伝統的なラダーフレームと前後リジッドアクスルを守り続けているのに対し、パジェロミニはビルトインフレーム・モノコックと前輪独立懸架を採用していました。この違いが、悪路走破性だけでなく舗装路での乗り味にも表れます。
見た目や車のカテゴリーは確かに似ている
まず、パジェロミニとジムニーを「似ていない車」と言い切るのも正確ではありません。両車とも日本の軽自動車規格に収まる小型4WDで、最低地上高を確保した背の高いボディ、短い前後オーバーハング、大径タイヤなど、クロスカントリー4WDらしい特徴を持っています。
パジェロミニは1994年に、三菱自動車が大型SUV「パジェロ」で培ったRV技術と軽自動車の手軽さを組み合わせた「ミニRV」として発売しました。三菱自動車自身も、パジェロのRV機能と軽自動車の経済性を融合したモデルだったと説明しています。[参照:三菱自動車・パジェロミニの歴史]
ジムニーも軽自動車サイズながら悪路走行を本格的に想定した4WDです。そのため外から見た用途やキャラクターは近く、「小さい本格4WD」という市場では直接比較されやすい2台でした。
最大の違いはボディ構造|ジムニーはラダーフレーム
両車を技術的に分ける最大のポイントが車体構造です。現行ジムニーは、頑丈な梯子状のフレームへサスペンションや駆動系を取り付け、その上にボディを載せるラダーフレーム構造を採用しています。
スズキは現在もラダーフレームを「ジムニー伝統の基本構造」と位置付けています。車体そのものと骨格となるフレームが分かれているため、強いねじれや衝撃を受ける悪路でも高い耐久性を確保しやすい構造です。[参照:スズキ・ジムニー走行性能]
これは現在多くの乗用車やSUVが採用するモノコック構造とは大きく異なります。ジムニーが単なるSUV風の軽自動車ではなく、本格クロスカントリー4WDとして扱われる大きな理由です。
パジェロミニは「ビルトインフレーム・モノコック」だった
一方のパジェロミニは、ジムニーと同じ独立したラダーフレームではありません。三菱独自のビルトインフレーム・モノコック方式が採用されました。
初代パジェロミニでは大型断面のフレームを組み込んだ高剛性モノコックボディを採用し、1998年登場の2代目でも、このビルトインフレーム・モノコック方式を基本としていました。[参照:三菱自動車・2代目パジェロミニ]
つまりパジェロミニも一般的な軽乗用車とまったく同じ作りではなく、悪路走行を考えてボディを強化していました。ただし、ジムニーのように「独立したラダーフレームの上にボディを載せる車」ではないという点が大きな違いです。
サスペンションもかなり違う
ジムニーのもう一つの特徴が、前後とも3リンクリジッドアクスル式コイルスプリングを採用していることです。左右の車輪が一本の車軸でつながる構造で、一方のタイヤが大きく持ち上がるような悪路でも反対側のタイヤを接地させやすい特徴があります。
スズキは、一般的な乗用車の独立懸架と比較して、リジッドアクスルは凹凸路で優れた接地性と大きな対地クリアランスを確保でき、構造も堅牢だと説明しています。[参照:スズキ・3リンクリジッドアクスル式サスペンション]
これに対してパジェロミニは、初代からフロントにマクファーソンストラット式、リアに5リンク式コイルスプリングを採用していました。前輪は左右が独立して動くため、舗装路での操縦安定性や乗り心地にも配慮された設計です。
悪路を本気で走るならジムニーの設計が有利
深いわだち、岩場、モーグル状の凹凸路など本格的な悪路になるほど、ジムニーのラダーフレームとリジッドアクスルのメリットが出てきます。
現行ジムニーは最低地上高205mmを確保し、アプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングルも悪路走行を前提に設計されています。また、2H・4H・4Lを切り替えられる機械式副変速機を備えています。4Lでは低いギア比を使い、急坂や険しい悪路をゆっくり大きな駆動力で進むことができます。
そのため、林道よりさらに厳しい地形を走ったり、クロスカントリー走行を趣味にしたりする用途では、構造的にはジムニーのほうが本格派です。
パジェロミニも「見た目だけの4WD」ではない
だからといって、パジェロミニがSUV風の普通の軽自動車だったわけではありません。4WD仕様にはイージーセレクト4WDが採用され、走行中に2WDと4WDを切り替えることができ、4WDにはHiとLoの2種類のギアが用意されていました。
2代目パジェロミニも2WD、4WD Hi、4WD Loを路面状況に応じて切り替えられ、最低地上高は195mmでした。三菱自動車も公式の車史で「優れた走破性」を特徴として挙げています。
つまり、パジェロミニにもローレンジ付き4WDがあり、一般的な軽SUVよりかなり本格的な悪路性能を持っていました。ジムニーほどオフロードに特化していないというだけで、「形だけのクロカン」と見るのは適切ではありません。
舗装路ではパジェロミニの考え方にもメリットがある
ラダーフレームとリジッドアクスルは悪路では強力ですが、どんな用途でも優れているわけではありません。左右独立懸架に比べると、路面から受けた入力が車体へ伝わりやすく、舗装路では独特の揺れを感じることがあります。
パジェロミニはフロントを独立懸架とし、三菱自動車も操縦安定性と快適な乗り心地の両立を狙ったことを説明しています。街乗り、高速道路、一般的な雪道や未舗装路などを中心に使うなら、この設計には十分な合理性があります。
そのため、両車の違いを単純に「ジムニーが上、パジェロミニが下」と考えるより、ジムニーは悪路性能をより優先し、パジェロミニは悪路性能と舗装路での使いやすさのバランスを狙ったと理解すると分かりやすいでしょう。
エンジンにもキャラクターの違いがある
パジェロミニの特徴の一つが4気筒エンジンです。初代には直列4気筒DOHC20バルブのインタークーラーターボなどが設定され、2代目にも4気筒エンジンが採用されました。
これに対して1998年登場の3代目ジムニーJB23は直列3気筒K6Aターボ、現行JB64も直列3気筒R06Aターボを搭載しています。現行ジムニーは658cc・64PSという軽自動車規格いっぱいの性能です。[参照:スズキ・ジムニーの歴史]
排気量や最高出力だけを見ると同じ軽自動車ですが、気筒数、エンジン特性、車体構造などが違うため、乗ったときのフィーリングも同じではありません。
4WDシステムには共通点も多い
パジェロミニとジムニーが似ている部分として、舗装路では2WDを使用し、必要に応じて4WDへ切り替えるパートタイム式に近い考え方があります。
ジムニーは現在も2H、4H、4Lを機械式トランスファーレバーで選択します。通常の乾燥した舗装路では2Hを使用し、滑りやすい道路では4H、険しい悪路では4Lという使い分けです。
パジェロミニのイージーセレクト4WDも2WD・4WDの切り替えとHi・Loを利用できました。この意味では、現在一般的な「普段は自動的に前後へ駆動力を配る都市型SUV」と比べれば、パジェロミニとジムニーはかなり近い仲間です。
比較すると違いが分かりやすい
代表的な2代目パジェロミニとジムニーの基本思想を整理すると、次のようになります。年式やグレードによって細部は異なります。
| 比較項目 | パジェロミニ | ジムニー |
|---|---|---|
| 車種 | 軽クロスカントリーSUV | 軽クロスカントリー4WD |
| 車体構造 | ビルトインフレーム・モノコック | 独立したラダーフレーム |
| 前サスペンション | 独立懸架系 | リジッドアクスル |
| 後サスペンション | 5リンク式コイル | リジッドアクスル |
| 4WD | 2WD/4WD Hi/4WD Lo | 2H/4H/4L |
| 得意分野 | 街乗りと悪路性能のバランス | より本格的な悪路走破 |
| 現在の新車販売 | 終了 | 継続 |
表を見ると、外観と用途は近い一方で、車体の基本設計にはかなり違いがあることが分かります。
中古車選びでは構造以上に車両状態が重要
パジェロミニはすでに生産を終了しているため、現在購入するなら基本的に中古車になります。そのため「パジェロミニとジムニーのどちらが優れているか」という車種比較だけで購入を決めるのはおすすめできません。
古い4WD車では、下回りの錆、オイル漏れ、ターボの状態、冷却系、AT・MT、4WD切替機構、足回りなど車両ごとの差が大きくなります。雪国で長く使われた車なら融雪剤による下回りの腐食にも注意が必要です。
特に悪路走行歴や改造歴のある中古車では、外観がきれいでも下回りへ負担がかかっている場合があります。購入時にはできれば整備記録簿を確認し、4WD車に詳しい販売店で下回りまで点検してもらうことが重要です。
まとめ|パジェロミニとジムニーは「似た用途だが中身は別物」
パジェロミニとジムニーは、軽自動車サイズ、3ドア、背の高いクロカンスタイル、切替式4WD、ローレンジなど共通点が多く、見た目や使い方という意味では十分に似た車です。
一方で、ジムニーはラダーフレーム+前後リジッドアクスル、パジェロミニはビルトインフレーム・モノコック+前輪独立懸架という大きな構造差があります。このため、本格的な悪路ではジムニーの設計が有利で、パジェロミニは舗装路の使いやすさも考慮した性格になっています。
したがって、「見た目だけならかなり似ている」「4WDの用途も似ている」「でも車としての基本設計は意外と違う」というのが最も実態に近い整理です。
パジェロミニを単なるジムニーの類似車と見るのではなく、三菱がパジェロの技術やイメージを軽自動車へ落とし込み、ジムニーとは別の方法で街乗りと悪路性能を両立させようとしたモデルと考えると、両車の違いが分かりやすくなります。


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