酒気帯び運転で検挙され、運転免許の取消処分を受ける予定になった場合、「警察は住所や勤務先を把握しているのだから、取消後に自宅や会社の近くで覆面パトカーが待っているのではないか」と不安になることがあります。事情聴取や実況見分などで自宅・勤務先を警察官と一緒に確認した経験があれば、なおさら気になるでしょう。
結論からいうと、免許取消処分を受けた人全員について、処分後に自宅や勤務先へ覆面パトカーを配置して継続的に張り込むという一律の制度が公表されているわけではありません。一方、警察が具体的な情報や事情に基づいて交通違反を取り締まることはあり、個別の捜査・取締り方法や警察車両の配置について外部から予測することもできません。
そのため、取消後に重要なのは「張り込みされるか」を予測することではなく、処分が効力を生じた後は絶対に運転しない生活環境を作っておくことです。無免許運転は重大な道路交通法違反であり、再度の免許取得にも大きな影響を与えます。
- 免許取消後に全員が張り込み対象になるという公表ルールはない
- 自宅や勤務先を警察が確認した理由と、その後の張り込みは別問題
- 所轄警察署は免許取消の事実を知るのか
- 酒気帯び運転では免許取消になるケースがある
- 取消処分の効力が生じた後に運転すれば無免許運転になる
- 「捕まらなければ大丈夫」という問題ではない
- 会社の車を使う仕事なら事前に勤務先と調整する
- 家に自分の車がある場合は「乗らない仕組み」を作る
- 取消処分を受けた直後は「いつから運転できないか」を正確に確認する
- 欠格期間が終われば自動的に免許が戻るわけではない
- 覆面パトカーを見かけても「自分を監視している」とは限らない
- 具体例|取消後も車で通勤していた場合
- 具体例|会社の敷地内なら運転してもよいとは限らない
- 飲酒運転を繰り返さない環境作りも重要
- まとめ|取消後に一律で張り込まれるとは言えないが、無免許運転は絶対に避ける
免許取消後に全員が張り込み対象になるという公表ルールはない
警察庁や都道府県警が一般向けに公表している制度を見る限り、「酒気帯び運転で免許を取り消された者について、一定期間、自宅と勤務先で覆面パトカーが張り込む」という全国一律の制度は示されていません。
免許取消は公安委員会が行う行政処分であり、取消処分を受けたというだけで、必ず自宅前に警察官が配置されるという仕組みではありません。したがって、処分後に毎日覆面パトカーが待機すると決まっている、と考える必要はありません。
ただし、これは「警察が確認や取締りを行うことは絶対にない」という意味でもありません。交通違反の取締りや捜査は個別の事情によって行われるため、特定の人物についてどのような方法が採られるかを外部から断定することはできません。
自宅や勤務先を警察が確認した理由と、その後の張り込みは別問題
飲酒運転の事件では、事件の経緯を確認するため、運転した経路、飲酒場所、出発地点、目的地などについて事情を聞かれることがあります。その調査の過程で、自宅や勤務先など事件に関係する場所を確認することも考えられます。
その際に覆面パトカーなど警察車両へ同乗して場所を確認したとしても、それだけで「免許取消後の無免許運転を監視するために場所を登録し、後日張り込むことが決まった」と判断することはできません。
事件処理のために所在地を確認することと、処分後に継続的な監視が行われることは別の話です。個別の捜査内容は公開されないため、担当警察官以外が今後の具体的な取締り方法を予測することも困難です。
所轄警察署は免許取消の事実を知るのか
運転免許に関する行政処分は公安委員会・警察の運転免許行政の中で管理されています。また交通違反についても警察が事件処理を行います。
ただし、「取消処分を受けた人の情報がどの部署へ、いつ、どの範囲まで共有され、その人物についてどのような取締りが行われるか」といった警察内部の運用を、一般の人が正確に知ることはできません。
したがって「所轄署は必ず知っていて張り込む」「担当した部署だけが知っているから所轄では分からない」といった断定は避けるべきです。警察が持つ情報や個別の取締り状況にかかわらず、取消処分後に運転できないことに変わりはありません。
酒気帯び運転では免許取消になるケースがある
警察庁によると、酒気帯び運転は呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の場合に罰則の対象となります。罰則は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。[参照:警察庁「みんなで守る 飲酒運転を絶対にしない、させない」]
行政処分については、前歴や他の累積点数がない場合、呼気中アルコール濃度0.15mg/L以上0.25mg/L未満では基礎点数13点で免許停止90日、0.25mg/L以上では基礎点数25点となり、免許取消・欠格期間2年が基本となります。過去の行政処分歴や同時に成立する違反・事故があれば結果は変わります。[参照:警察庁「飲酒運転の行政処分」]
ここでいう欠格期間とは、取消処分を受けた後、原則として新たな運転免許を取得できない期間です。「免許証を持っていないだけで、運転技術があるから運転してよい」という意味ではありません。
取消処分の効力が生じた後に運転すれば無免許運転になる
免許取消処分を受け、運転資格がなくなった状態で普通自動車などを運転すると、無免許運転となります。警察庁の資料でも無免許運転は悪質・危険な交通違反として扱われています。
現在の道路交通法では、無免許運転には3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。警視庁も、運転免許が必要な車両を無免許で運転した場合の罰則として同じ内容を案内しています。[参照:警視庁「無免許運転の罰則」]
酒気帯び運転による取消後に「通勤だけ」「家の近所だけ」「数分だけ」と運転しても、免許が必要な車を運転すれば無免許運転です。距離の短さや運転目的によって合法になることはありません。
「捕まらなければ大丈夫」という問題ではない
免許取消後に気になりやすいのが、「警察に見られているのか」「覆面パトカーがいるのか」という点ですが、無免許運転をしないためには、取締りの有無を判断材料にしないことが重要です。
無免許の状態で事故を起こした場合には、交通違反そのものに加えて、事故についての民事・刑事上の問題、勤務先との関係、自動車保険の扱いなど複数の問題が発生する可能性があります。
さらに、取消後に再び重大な道路交通法違反をすれば、将来免許を取り直す計画にも影響します。警察が近くにいるかどうかに関係なく、処分期間を守ることが最も重要です。
会社の車を使う仕事なら事前に勤務先と調整する
仕事で自動車を使っていた人が免許取消になる場合は、処分後の通勤だけでなく業務中の運転についても対策が必要です。営業車、トラック、社用車なども当然運転できません。
勤務先に必要な範囲で事情を伝え、運転を伴わない業務へ変更してもらう、ほかの従業員に運転を担当してもらうなど、処分開始前に調整しておくことが現実的です。
特に「会社には知られたくないから、短距離だけ社用車を運転する」という対応は避けるべきです。運転が業務上不可欠なら、勤務上の扱いを会社と正式に確認する方が安全です。
家に自分の車がある場合は「乗らない仕組み」を作る
免許取消後も自宅に車を置いていると、買い物や通勤などで「少しだけなら」と考えてしまうことがあります。そのような状況を防ぐため、あらかじめ代替交通手段を決めておくと安心です。
例えば家族が使用する車なら家族に管理してもらい、自分専用の車なら売却・一時的に使用しない状態にするなど、自分の生活状況に合った方法を考えます。通勤についても公共交通機関、自転車、徒歩、家族の送迎など合法的な手段へ切り替えます。
重要なのは警察の取締りを避ける方法を考えることではなく、そもそも無免許運転が起きない環境を作ることです。
取消処分を受けた直後は「いつから運転できないか」を正確に確認する
免許取消が予定されている段階と、実際に取消処分の効力が生じた後では法律上の状態が異なります。そのため行政処分の通知、意見の聴取・聴聞など、自分に案内された手続の日程を正確に確認することが重要です。
インターネット上の体験談を参考に「○日までは乗れるはず」と自己判断するのは避け、処分を担当する都道府県警察の運転免許担当窓口に、自分の場合の処分開始時点を確認してください。
処分がいつから効力を生じるのか分からない場合は、運転できる期間を推測するのではなく、公安委員会から交付された書類や担当窓口で確認するのが確実です。
欠格期間が終われば自動的に免許が戻るわけではない
免許取消と免許停止の大きな違いの一つは、取消の場合、欠格期間が終わっただけで以前の免許が自動的に復活するわけではないことです。
免許を再取得するためには、欠格期間を経過したうえで改めて免許取得の手続きを行う必要があります。また、取消処分を受けた人が再び免許を取得する際には、原則として「取消処分者講習」を受講する必要があります。
したがって、欠格期間の最終日を過ぎた翌日に勝手に車を運転できるわけではありません。新たに有効な運転免許を取得するまでは運転しないという理解が重要です。
覆面パトカーを見かけても「自分を監視している」とは限らない
免許取消など大きな処分を控えていると、自宅や勤務先の近くで見慣れない車を見るだけで「警察ではないか」「自分を監視しているのではないか」と気になることがあります。
しかし、外観だけから一般車両と警察車両を確実に判別したり、その車両の目的を判断したりすることはできません。仮に警察車両だったとしても、交通取締り、事件対応、警戒活動など目的はさまざまです。
そのため、近隣に知らない車が停まっていることだけを理由に「自分への張り込みが始まった」と決めつける必要はありません。逆に警察車両らしきものが見えないから運転しても発覚しない、と考えることも危険です。
具体例|取消後も車で通勤していた場合
例えば酒気帯び運転で免許取消となった人が、「会社まで5分だから」と以前と同じ自家用車で通勤を続けたとします。
この場合、覆面パトカーが自宅前で待っていたかどうかは本質的な問題ではありません。道路上での交通取締り、別件の事故、職務上の確認など、さまざまな契機から無免許運転が判明する可能性があります。
そして取消後で有効な免許がなければ、たとえ片道5分でも無免許運転です。通勤方法を変更することが必要になります。
具体例|会社の敷地内なら運転してもよいとは限らない
勤務先で車を使う場合、「公道ではなく会社の敷地だから大丈夫」と単純に判断するのも避けた方がよいでしょう。道路交通法上の「道路」に該当するかどうかは、土地の名義だけではなく、一般交通の用に供されている実態などによって判断されることがあります。
不特定多数の車が自由に出入りする場所などは、私有地であっても道路交通法上の道路に該当する場合があります。そのため「私有地なら免許なしで走れる」と一律には言えません。
免許取消中は、業務上の必要がある場合も自分で判断して運転せず、勤務先と業務内容を調整する方が安全です。
飲酒運転を繰り返さない環境作りも重要
酒気帯び運転で取消処分になった場合、欠格期間が終わって再び免許を取得することだけではなく、再発を防止する生活習慣を作ることも重要です。
警察庁は「飲酒運転を絶対にしない、させない」という考え方を周知しており、運転者本人だけでなく、飲酒運転をするおそれがある人への車両提供や、一定の場合の酒類提供・同乗についても罰則を設けています。[参照:警察庁「飲酒運転には厳しい罰則と行政処分が!」]
免許を再取得した後も、「少ししか飲んでいない」「翌朝だから大丈夫」と自己判断せず、飲酒したら運転しないことを徹底する必要があります。
まとめ|取消後に一律で張り込まれるとは言えないが、無免許運転は絶対に避ける
酒気帯び運転による免許取消処分を受けた人について、取消後に自宅や勤務先へ覆面パトカーを配置し、全員を継続的に張り込むという全国一律の制度は公表されていません。事件の調査で自宅・勤務先を警察官と確認したことがあっても、それだけで後日の張り込みが決まっているとは判断できません。
一方、警察が具体的な情報などを基に交通違反を取り締まる可能性はあり、個別の警察活動を事前に予測することはできません。「所轄署が知っているか」「覆面パトカーが近くにいるか」を基準に行動するべきではありません。
取消処分が効力を生じた後に免許が必要な自動車を運転すれば無免許運転となり、現在の道路交通法では3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。[参照:警視庁「無免許運転の罰則」]
また、欠格期間が終わっても以前の免許が自動的に復活するわけではありません。必要な手続きを経て新たに有効な免許を取得するまでは運転できません。
処分を控えている段階では、処分の効力が生じる日を警察の運転免許担当窓口で確認し、通勤・仕事・買い物などの移動手段を事前に変更しておくことが最も重要です。張り込みの有無を心配するより、「取消期間中は運転する状況そのものを作らない」ことが、再度の処罰や事故を防ぐ確実な対応になります。


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