バイクの外装やヘルメットなどを、キャンディレッドとゴールドを組み合わせたタイガーカラーに塗装する場合、仕上がりを大きく左右するのが下地色・ラメを入れる層・キャンディカラーを重ねる順番です。特にキャンディレッドは一般的な赤色の塗料とは性質が異なり、半透明のカラーを下地の上へ重ねることで奥行きのある赤を表現します。
さらにラメを加える場合、キャンディカラーそのものへ大量に混ぜるより、ラメを配置する層と色を作る層を分けた方が調整しやすくなります。ここでは、深みのある赤とゴールドを使ったタイガーカラーを想定し、基本的な塗装工程と失敗しやすいポイントを整理します。
キャンディレッドは下地から色を作る塗装
キャンディ塗装の特徴は、半透明のカラー層を通して下にあるメタリックの反射を見せることです。そのため、同じキャンディレッドを使用しても下地によって完成色が大きく変わります。
たとえば明るいシルバーの上へ赤を重ねれば鮮やかで発色の強いキャンディレッドになりやすく、暗めのメタリック下地なら落ち着いた深い赤に見えやすくなります。ゴールド系の下地を利用すると、光が当たった部分に暖かみを感じる赤を作ることもできます。
「深い赤にしたいから濃い赤色の塗料を一度で厚く吹く」という考え方ではなく、薄いキャンディカラーを複数回重ねながら狙った濃さへ近づけるのが基本です。
タイガーカラー塗装の基本的な工程
塗料メーカーや使用する塗装システムによって指定工程は異なりますが、一般的には次のような層を作っていきます。
| 工程 | 主な作業 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 洗浄・足付け・脱脂 | 塗装面を整えて密着性を確保 |
| 2 | 必要に応じてサフェーサー | 傷や下地の状態を整える |
| 3 | ベースカラー | キャンディの発色と反射感を作る |
| 4 | タイガー柄の塗り分け | 赤・ゴールド部分のデザインを作る |
| 5 | ラメ・フレーク層 | 光を受けたときの輝きを加える |
| 6 | キャンディカラー | 透明感と色の深さを作る |
| 7 | クリア | 塗膜とラメを保護する |
| 8 | 必要に応じて研磨・仕上げクリア | 段差を減らして光沢を整える |
実際には使用する塗料の種類によって、フレークをベースに混ぜる方法、クリアへ混ぜる方法、専用バインダーを使用する方法などがあります。必ず使用する塗料メーカーの配合比率、乾燥時間、再塗装可能時間に従ってください。
深いキャンディレッドを作る方法
深い赤を狙う場合には、まず下地を選びます。鮮やかさを残したいならシルバーメタリック、暖色寄りの深みが欲しいならゴールド系、さらに暗く落ち着かせたい場合は暗めのメタリックを試す方法があります。
その上からキャンディレッドを薄く均一に重ねます。キャンディカラーは重ねるほど濃くなるため、たとえばテストピースに「2コート・3コート・4コート・5コート」と塗り分けておけば、どの程度で希望する赤になるのか確認できます。
ここで重要なのが、本番のパーツだけを見ながら色を決めないことです。キャンディは塗り重ね回数やガン距離、吐出量によって濃淡が出やすいため、同じ下地を塗ったテストピースを用意すると失敗をかなり減らせます。
ラメはどの工程で入れるときれいに見える?
ラメやメタルフレークを入れる場合、扱いやすい方法の一つが、ベースカラーの上にクリア系バインダーなどを利用してフレークを配置し、その上からキャンディカラーを重ねる方法です。これならラメの反射をキャンディカラー越しに見せられるため、奥行き感を出しやすくなります。
一方、キャンディレッドを作った後、その上にラメを配置してクリアで閉じ込めれば、ラメそのものの輝きが前面へ出やすくなります。つまり、キャンディの下にラメを置くか、上に置くかで見え方が変わります。
派手なラメ塗装ではなく「よく見るとキラッとする」程度を狙うなら、細かい粒子を少量使う方がタイガー柄とキャンディの質感を邪魔しにくくなります。粒径が大きくなるほどギラギラしたカスタムペイント感が強くなります。
赤とゴールドの両方にラメを入れる場合
赤部分とゴールド部分の両方を光らせたい場合でも、必ず同じ種類・量のラメを使う必要はありません。むしろベースカラーそのものがメタリックなら、それだけでもかなり反射します。
たとえばキャンディレッド部分には微細なゴールド系またはレッド系フレークを少量、ゴールド部分には微細なゴールドフレークを使用すると、全体の色調をまとめやすくなります。一方、ホログラム系フレークは複数色に強く反射するため、狙っているクラシックなタイガーカラーから印象が離れることがあります。
ラメは「少ない」と感じる程度からテストするのがおすすめです。クリアを重ねて屋外の太陽光で見ると、室内照明よりかなり強く輝いて見えることがあります。
タイガー柄はマスキングの順番が重要
2色以上を使ったタイガーカラーでは、色そのものだけでなく塗り分け部分の段差にも注意します。ベースカラーを十分に乾燥させ、塗料に適したマスキングテープやラインテープを使用して柄を作ります。
キャンディカラーは半透明なので、マスキング境界からミストが入り込むと修正が難しくなる場合があります。ライン部分は丁寧に密着させ、複雑な曲面では特に浮きがないか確認します。
また、塗り分けによってできた段差の上からいきなり最終仕上げを行うのではなく、クリアで塗膜を作り、塗料メーカーが許容する工程で研磨して段差を整えてから仕上げると、表面を滑らかにしやすくなります。
キャンディ塗装で起こりやすい色ムラを防ぐ
キャンディ塗装で難しいのが色ムラです。通常のソリッドカラーと違って下地が透けるため、同じ場所へ多く塗料が乗るだけでもそこだけ濃く見えることがあります。
ガンの距離、移動速度、塗り重ね幅をなるべく一定にし、パーツ全体へ均一に塗料を乗せることが重要です。部分的に「ここだけ薄い」と感じて一点だけ追加すると、その場所だけさらに濃くなって修正が難しくなる場合があります。
複数の外装パーツを同じ色にする場合は、それぞれ別々に色を完成させるより、可能であれば同じタイミング、同じコート数で塗装した方が色差を抑えやすくなります。
ラメを入れすぎると表面が凸凹しやすい
粒の大きなフレークを使用すると、塗装面から粒子が突出して表面がざらつきます。この状態を滑らかにするには、フレークを十分なクリア層で覆う必要があります。
ただし、一度に大量のクリアを厚塗りすればよいわけではありません。タレや硬化不良などにつながるため、メーカー指定の塗装間隔と塗膜量を守ります。
フレークを研磨すると粒子自体を削ってしまい、部分的に輝き方が変わることがあります。そのため、フレークそのものではなく、十分に覆ったクリア層を平滑化するという考え方が重要です。
最初にテストピースを作ると完成色を判断しやすい
キャンディ+ラメ+ゴールドという組み合わせでは、画像やカラーサンプルだけから完成状態を予測するのは難しいものです。太陽光、曇天、室内照明によってもかなり表情が変わります。
そこで、本番前に小さな金属板などへ本番と同じ工程で塗装しておくと失敗を減らせます。たとえば下地をシルバーとゴールドの2種類に分け、その上へ同じキャンディレッドを塗れば、下地による違いを直接比較できます。
さらにキャンディのコート数とラメ量を変えた複数のサンプルを作れば、「深い赤だけれど暗すぎない」「日陰では落ち着いて見えて、日光ではラメが浮かぶ」といった微妙な仕上がりまで調整できます。
塗装時は換気・防護と塗料メーカーの指示を優先する
自動車・バイク用塗料や2液型ウレタンクリアなどには、吸入や皮膚への付着を避けるべき成分が含まれる製品があります。単なる防じんマスクだけで十分とは限らないため、製品の安全データシート(SDS)やメーカーの注意事項を確認し、指定された保護具・換気設備を使用してください。
特に2液型ウレタン系製品ではイソシアネートを含むものがあります。設備や適切な保護具を用意できない場合は、下地やデザインまで自分で決め、実際の吹き付けを専門の塗装業者へ依頼する方法もあります。
また、メーカーの異なるサフェーサー、ベース、キャンディ、クリアを組み合わせると、縮みや密着不良などが起こることがあります。可能であれば同一メーカーが指定する塗装システムで揃えるとトラブルを避けやすくなります。
まとめ|深い赤のタイガーカラーは下地・ラメ・キャンディの順番がポイント
キャンディレッドとゴールドを使ったタイガーカラーに控えめなラメを加える場合は、下地を整える→メタリック系ベースで反射を作る→必要に応じてラメを配置する→キャンディレッドを薄く重ねる→クリアで保護するという考え方が基本になります。
特に深い赤はキャンディレッドを単純に厚塗りして作るのではなく、下地色とキャンディのコート数を組み合わせて調整すると奥行きが出やすくなります。ラメについても、キャンディの下へ入れれば色の奥から輝く印象に、上へ配置すれば輝きそのものを強調しやすくなります。
最終的な仕上がりは塗料の種類、下地、フレーク粒径、塗装回数によって大きく変わります。本番パーツへ直接試すのではなく、まずテストピースで下地色・ラメ量・キャンディのコート数を決めてから施工することが、狙ったタイガーカラーへ近づける最も確実な方法です。


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