一時停止したのに切符を切られたら?ドラレコ映像を警察に見せる方法と反則金・不服申立ての流れ

運転免許

一時停止の標識がある場所で「確実に止まったはずなのに、一時不停止として交通反則切符を切られた」というケースでは、ドライブレコーダーの映像が残っているなら消去せず保存しておくことが重要です。後日、取締りを行った警察署などに事情を説明し、映像を確認してもらえないか相談すること自体は可能です。

ただし、ドラレコを警察署へ持参すれば、その場で必ず青切符が取り消されるという制度ではありません。また、反則金を納付する場合と違反の成立を争う場合では、その後の手続が大きく異なります。感情的に抗議するより、まず映像を保全し、停止位置や車両が完全に停止している場面を客観的に確認することが大切です。

一時停止違反は「止まったか」だけでなく停止位置も重要

指定場所一時停止では、「少し速度を落とした」「ほぼ止まった」では足りず、車輪が停止する状態まで一時停止する必要があります。また、一時停止標識があり停止線が設けられている場所では、原則として停止線の直前で停止することがポイントになります。

そのため、運転者には「止まった」という認識があっても、警察官から見ると停止線を越えてから停止していたり、非常に低速ではあるものの車輪が完全には止まっていなかったりして、認識が食い違うことがあります。

逆に、ドラレコ映像から停止線の直前で車両が明確に完全停止していたことを確認できるのであれば、違反の事実を争う際に重要な資料となり得ます。単に「自分は止まったと記憶している」という主張より、映像で時系列を確認できることには大きな意味があります。

ドラレコ映像はすぐに保存して上書きを防ぐ

最初に行いたいのが、ドライブレコーダー映像の保全です。ドラレコの多くは容量がいっぱいになると古い映像から自動的に上書きします。取締りから数日後に確認しようとしたところ、肝心の映像が消えていたということもあり得ます。

SDカードをそのまま保存する方法もありますが、可能であれば元データをパソコンなどへコピーし、さらに別の媒体にもバックアップしておくと安心です。編集アプリで必要部分だけを切り出す前に、元の連続した映像をそのまま保存しておくことをおすすめします。

例えば取締りを受けた瞬間だけではなく、その少し前から警察官に停止を求められるまでの映像を残しておけば、走行経路、停止線への接近、停止位置、停止時間などを確認しやすくなります。

後日、警察署にドラレコを持って行ってもよい?

交通取締りの内容に事実誤認があると考える場合、取締りを担当した警察署・交通担当部署などに連絡し、ドラレコ映像があることを伝えて相談することはできます。いきなり最寄りの警察署へSDカードだけを持参するより、青切符に記載されている取締り日時・場所・担当部署などを確認し、まず電話で問い合わせるほうが話は進めやすいでしょう。

注意したいのは、「最寄りの警察署ならどこでも、その場で別の警察官が切符を取り消してくれる」という仕組みではないことです。取締りを行った所属や交通反則通告制度上の手続との関係があるため、どこへ映像を提出・提示すればよいかを確認してから動くのが現実的です。

相談するときは「納得できないから取り消してほしい」とだけ伝えるより、「○月○日○時ごろ、○○交差点で指定場所一時不停止として告知を受けたが、停止線手前で完全停止していると思われるドラレコ映像が残っている。確認してもらうにはどのような手続を取ればよいか」と具体的に伝えると状況が整理しやすくなります。

ドラレコのどこを確認すればよい?

ドラレコ映像を見るときには、「映像がある」というだけで安心せず、実際に何が映っているのかを冷静に確認する必要があります。特に重要なのは、停止線と自車の位置関係です。

  • 一時停止標識が確認できるか
  • 停止線の位置が確認できるか
  • 停止線を越える前に完全停止しているか
  • 映像から車両の停止を客観的に判断できるか
  • 日時が正しく記録されているか
  • 取締りを受けるまで映像が連続しているか

前方カメラの場合、カメラ自体はフロントガラス付近にあるため、映像上で停止線が画面下へ消えた瞬間と車体先端が停止線を通過した瞬間は一致しません。この点を考慮せず、映像だけから停止位置を断定するのも危険です。

一方、映像中の周囲の固定物、停止線、車両の揺れ、エンジン音、GPS速度情報などを組み合わせることで、停止状況を判断しやすくなる場合があります。

青切符に署名したらもう争えない?

交通反則告知の際には供述書欄への署名・押印(指印)を求められる場合がありますが、警視庁はこの署名・押印について強制するものではないと説明しています。[参照] 警視庁「交通反則通告制度」

また、現場で青切符を受け取ったことと、反則金を納付して交通反則通告制度による処理を終えることは同じではありません。警視庁は、交通反則通告制度の適用を受けるか拒否するかは違反をしたとされた人が選択すると案内しています。

したがって「現場で署名してしまったから、ドラレコを確認する意味は一切ない」と決めつける必要はありません。ただし、具体的な証拠関係や手続の進行状況によって対応は異なるため、争う意思がある場合は早めに担当部署へ確認することが大切です。

反則金を払えば一件落着になる仕組み

自動車の指定場所一時不停止のような比較的軽微な交通違反では、一般に交通反則通告制度による処理が行われます。警察庁は、この制度について、反則金を納付した場合には公訴が提起されない制度と説明しています。[参照] 警察庁「交通反則通告制度(いわゆる青切符)とは」

青切符と一緒に渡される納付書には期限があります。例えば警視庁では、告知を受けた日の翌日から起算して7日以内を仮納付の期限として案内しています。[参照] 警視庁「反則金の納付」

反則金を納付すれば刑事事件として刑罰を科されずに処理されます。そのため、「とりあえず反則金を払ってから、あとでゆっくり違反を争えばよい」と安易に考えず、違反の成立そのものを争うつもりなら、納付前に制度と今後の手続を確認することが重要です。

反則金を払わなければ切符が自動的に無効になるわけではない

ここは特に誤解しやすいポイントです。反則金の納付は任意ですが、納付しなければ違反そのものが消滅するわけではありません。

警察庁の説明では、反則金を納付しない場合、本来の刑事手続による処理へ進むことがあります。警察による捜査、検察庁への送致、検察官による起訴・不起訴の判断があり、起訴された場合には裁判所で審理される流れになります。

「納得できないから反則金を無視すれば終わる」というものではありません。違反を争うということは、簡易な反則金制度で終結させず、刑事手続で事実関係を争う可能性を受け入れるという意味を持ちます。

ドラレコを見せれば必ず切符が取り消されるわけではない

映像が鮮明であっても、それだけで必ず取締りが撤回されるとは限りません。警察側には、現場で違反を現認した警察官の認識や記録などがあります。双方の証拠を踏まえて事実関係が判断されることになります。

例えばドラレコを見ると確かに車は停止しているものの、停止した場所が停止線を越えた後だった場合には、「停止した」という事実だけで一時不停止の指摘を覆せるとは限りません。

反対に、停止線直前で完全停止していることが客観的に読み取れる映像なら、少なくとも事実関係を説明するうえで有力な資料になり得ます。だからこそ、映像を編集・削除せず原本に近い状態で保全することが重要です。

警察へ相談するときに持っておきたいもの

実際に担当部署から映像を持参するよう案内された場合は、交通反則告知書、運転免許証、ドラレコ映像を保存した媒体など、指示された資料を準備します。映像をスマートフォンにコピーしておくと、その場で概要を説明しやすい場合もあります。

また、取締りを受けた日時、交差点名、進行方向、警察官がいた位置、自分が停止したと考える位置などを、記憶が鮮明なうちにメモしておくと役立ちます。

ただし、提出方法や受け付ける媒体は警察によって異なる可能性があります。USBメモリやSDカードを持参すれば必ず受け取ってもらえるとは限らないため、事前に担当部署へ確認するのが確実です。

本当に争うなら交通事件に詳しい弁護士への相談も選択肢

ドラレコを確認してもらっても見解が変わらず、それでも一時停止していたことに確信がある場合には、交通事件を扱う弁護士へ相談する方法もあります。特に映像の評価や今後の刑事手続について判断に迷う場合、専門家から具体的な助言を受ける意味があります。

もっとも、弁護士費用や手続に必要な時間も考える必要があります。反則金額だけを比較すれば、争うための負担のほうが大きくなるケースもあります。一方で、金額ではなく「実際には違反していないことを明らかにしたい」という目的で争う人もいます。

重要なのは、反則金を払う・払わないを感情だけで決めるのではなく、ドラレコが何を証明できるのか、刑事手続へ進んだ場合に何が起きるのかを理解したうえで判断することです。

まとめ|まずドラレコを保存し、取締りを担当した警察へ早めに相談する

一時停止したにもかかわらず一時不停止として切符を切られたと考えており、ドラレコ映像が残っている場合は、まず映像を上書きされない状態で保存することが第一です。そのうえで青切符の内容を確認し、取締りを担当した警察署・交通担当部署などへ連絡して、映像を確認してもらう方法を相談するとよいでしょう。

最寄りの警察署へ後日相談すること自体はできますが、そこで直ちに切符を取り消してもらえるとは限りません。取締りを担当した所属が別であれば、適切な窓口を案内されることも考えられます。

また、青切符の反則金は「納付しなければ違反が消える」という仕組みではありません。納付すれば原則として交通反則通告制度によって処理が終結する一方、納付せず違反を争う場合には刑事手続へ移行する可能性があります。

「止まった記憶」ではなく「停止線直前で完全停止したことが映像から確認できるか」が重要です。納得できない取締りでドラレコという客観的資料が残っているなら、映像を消さず、期限を放置せず、早い段階で担当警察と手続を確認するのが適切な対応です。

※本記事は一般的な交通反則通告制度について解説したもので、個別事件の法的判断を行うものではありません。具体的な手続は取締りを行った都道府県警察等に確認してください。

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